| トップ | この記事へのコメント | サイトマップ | コンタクト | ログイン | | |
チャレンジ5chマルチ | |||
1. マルチチャンネルの感動 2. アンチ・マルチ論を考える 3. 機器と構成例、問題点 4. 5.1ch音場のセットアップ 5. 7.1ch音場の場合は? | |||
<他のセクション> | |||
| |||
- チャレンジ5chマルチ - |
5.1ch音場のセットアップ |
マルチもマルチで - システム構成 もっと分かりやすく AVアンプにまかせてみる? 自分でやってみる? 最善の現状を大切に!! |
このページの記事は、あなたが小庵の [チャレンジ2ch 3-way] セクションを読んでいることを前提にしています。
本ページは、5.1マルチチャンネルシステムにおいて、すべてのチャンネルをマルチアンプシステムで構成する場合の基本的なセットアップについて書いています。フロントチャンネルのみマルチアンプにする簡易な方法については前ページ「機器と構成例、問題点」を見てください。
5.1マルチチャンネルシステムをオーディオファンにも満足のいくレベルで構築するためには、解決しなければならない以下の問題があります。音場のセットアップと呼ばれます。本気で取り組むと難しい問題になるんです。
- チャンネル間タイムアラインメントの調整(遅延への対応)
- チャンネル間位相の調整
- チャンネル間音量バランスの調整
マルチもマルチで - システム構成 | チャレンジ5chマルチ - 5.1ch音場のセットアップ | |
|
以降の記事は、あなたが3-way/4-wayのマルチアンプシステム(フロント用)と3チャンネル分の2-wayマルチアンプシステム(センター用とサラウンド用)を構築済みで、それぞれ個別に常用音量再生が可能になっていることを前提にしています。これらが未構築なら [チャレンジ2ch 3-way] セクションを参考に準備作業を行ってください。
また、小庵は本格的なマルチアンプシステムにおいてはサブウーファーチャンネルを使わない運用をすすめています。これについては前ページ「機器と構成例、問題点」ページを見てください。
接続と設定の確認 | |||
| |||
サブウーファーチャンネルを除く5チャンネルのすべてをマルチアンプシステムで再生するための機器構成と接続方法を改めて確認しておきましょう。
- 2チャンネルのデジタル音源を除き、LPレコード音源を含むすべてのアナログ/デジタル音源をAVアンプへ入力します。
- AVアンプの「プリ出力端子(アナログ出力)」からフロントチャンネル出力を既存の3-way/4-wayシステムのSRC2496/DCX2496#1へ、センターチャンネル出力とサラウンドチャンネル出力を追加構築システムのDCX2496#2(INPUT A/B/C)へ入力します。接続にはRCA-XLR変換ケーブルが必要になる場合があります。
- 右図の「プリセットボリューム」はマスターボリュームではなく、フロントチャンネルに対するセンターチャンネルとサラウンドチャンネルの音量バランスを微調整するためのものです。2-wayなので2連ボリュームが3組必要です。これはDCX2496#2の出力設定またはAVアンプ#2内蔵のプリセット機能で代用できますが、手軽さに欠けるので入れてみました。
センター/サラウンドに問題が? | |||
気付きましたか? この構成には問題があります。センターチャンネルとサラウンドチャンネルについて、 AVアンプ#1からのアナログ信号電圧がDCX2496#2にとって不足する可能性があります。通常、フロントチャンネル以外は信号電圧が低いので、ほぼ確実にそうなるでしょう。対策を考えないと十分な音質を期待できません。フロントチャンネルのようにDCX2496#2の前にSRC2496を設置すればゲイン調整が可能ですが、SRC24969は2チャンネル対応機器なので1チャンネル分が対応できないことになります。ないよりマシですか?
これについては小庵は以下のようにすることをすすめます。
- AVアンプ#1でセンターチャンネルとサラウンドチャンネルの出力レベルを上げる。
-
- センターチャンネル出力を+6dBにしたところ - - DCX2496#2でINPUT A/B/Cのゲインを調整する。
-
- INPUT C を+15dBにしたところ -
もっと分かりやすく | チャレンジ5chマルチ - 5.1ch音場のセットアップ | |
5.1マルチチャンネル音源の再生では、あなたを取り囲むように配置されたフロントチャンネル用スピーカー(左右2組)とセンターチャンネル用スピーカー(1組)、サラウンドチャンネル用スピーカー(左右2組)から音が出てきます。7.1チャンネル音源の再生ではさらにサラウンドバックチャンネル用のスピーカー(2組)があります。これらのスピーカー群のタイムアラインメント設定や位相設定、音量設定等があなたのリスニングルームに独特の音場を創り出します。
チャンネル間タイムアラインメントの調整とは? | |||
|
チャンネル間タイムアラインメントの調整とは、フロントチャンネルやセンターチャンネル、サラウンドチャンネルのそれぞれのスピーカーシステムから出た音がリスニングポイントに正しいタイミングで届くようにすることです。遅延(ディレイ)の設定とも呼びます。タイムアラインメント設定が不適切な場合は位相のずれも同時に起こるので、マルチチャンネルの音場を正しく管理しようとするときにとても重要な設定項目になります。
チャンネル間位相の調整とは? | |||
スピーカーシステム間またはスピーカーユニット間で位相が正しく調整されていない場合、それらによる音場はひどいものになります。楽器やボーカルの音の位置(定位)が定まりません。ステージ中央にいるはずのボーカルが左右にふらふらと移動したりします。音が拡散したようで力感もありません。ただし、高域音への影響はそれほどでもありません。問題は低域と中低域で、聴取位置によってその音圧に大きな差ができてしまいます。原因は、位相のずれのためにスピーカーからの音が打ち消し合うことです。
チャンネル間音量バランスの調整とは? | |||
マルチチャンネルシステムでは、各チャンネルの音量レベルを適切にセットする必要がありますが、どうセットした場合に本当に適切と言えるのかが問題になります。というのも、チャンネル間の音量バランスは購入メディアや楽曲によって異なる場合があるからです。たとえば、フロントチャンネルの音量に対してセンターチャンネルやサラウンドチャンネルの音量が大き過ぎたり小さ過ぎる(と感じられる)事態になります。せっかくお気に入りの楽曲が最高にグルーブするように音量バランスを整えても、他の楽曲では期待はずれになってしまうかもしれません。どうすればいいのでしょうか。
AVアンプにまかせてみる? | チャレンジ5chマルチ - 5.1ch音場のセットアップ | |
近年のAVアンプは前記のすべての問題を一括して解決してくれる機能を持っています。小庵は「音場管理機能」と呼んでいます。初期のころのそれはAVアンプの怪しさの根拠の一つと言われたこともありますが、今ではそんなことはありません。従来、オーディオファンが測定器やデジタルデバイダーを使って手作業で四苦八苦していたことをあっというまに完了してくれる機能です。試してみませんか? 結果が気に入らないならマニュアルセットアップでやり直すだけです。
ただし、AVアンプは「デジタルチャンネルデバイダーのためのゼロデシベル管理」についてはまったく配慮してくれないので、自動セットアップの結果によっては大きな不満が残る可能性があります。その場合は本ページの「自分でやってみる?」または前ページ「機器と構成例、問題点」の「システム全体の音量コントロールはどうする?」を参考に手動セットアップにチャレンジしてみてください。
音場管理をAVアンプにまかせることの利点 | |||
| |||
AVアンプの音場管理システムは、(1)AVアンプがテスト用の音をすべてのチャンネルに順に出力し、(2)出てきた音をAVアンプ自身が付属のマイクロフォンで聞き取り、(3)音の遅延を調整し、(4)音の位相を合わせ、(5)音量偏差等を自動的にセットアップするものです。
「音の遅延を調整」という機能に特に注目してください。これは「AVアンプがリスニングポイントからスピーカーシステムまでの距離を測定することと同じ」と思われがちですが、それは正確な表現ではありません。というのも、外部の出力システムに何を使うかによってそこで起きる遅延に差があるかもしれないからです。SRC2496やDCX2496のようなデジタル機器には遅延があることを思い出してください。遅延は個々の機器やその設定により千差万別である可能性があります。距離だけを見て結論を出せば機器内部の遅延を見逃してしまいます。
たとえば、前掲構成図にはフロントチャンネルにはあるSRC2496がセンター/サラウンドのチャンネルにはありません。すると、SRC2496の挿入で発生する遅延時間を考慮するのが本来なら正しいセットアップです。前掲図のシステムの場合、センター/サラウンドからの音がフロントからの音より先に聞こえる事態になるかもしれません。よい音場とは言えませんね。
でも、AVアンプの音場管理システムは出力システムの構成にかかわりなく正しい判断ができます。出力システムがマルチアンプシステムかどうかや、そこでデジタル機器が使われているかどうかはAVアンプの判断に影響はありません。AVアンプから見ればそれらは1個のスピーカーシステムに過ぎないので、遅延するかどうか、結果を見るだけでよいからです。
たとえば、ある出力チャンネルに遅延の大きなデジタル機器が使われていればそこからの音は大きく遅延します。これをマイクから聞いたAVアンプは「そのスピーカーは他のものより遠い位置にある」と判断し、それより近い位置にあると判断したスピーカー側で遅延処理を行ってくれます。結果としてそれらの音が同時にリスニングポイントに届くことになります。このため、個々のスピーカーシステムの実際の設置位置とは異なる設定値がAVアンプに記録されることがあります。それは総合的に正しい判断です。
利用する機器や設定内容をまったく同じにすることで音場管理の複雑さを防ぐ方法もありますが、コスト高になってしまいますね。音場管理についてAVアンプの搭載機能を利用するなら、チャンネルデバイダーやスピーカーシステムに何を使ってもよいというのはオーディオファンにとって大きなメリットと言えませんか?
なお、AVアンプによる遅延処理は音が出るタイミングを遅らせているだけなので音質への影響はありません。位相や音量バランスの調整についても同じです。デジタル処理だからできることです。
前提条件があります | |||
| |||
AVアンプの音場管理機能を信頼する場合でも、あなたの3組のマルチアンプシステムのセットアップはあなた自身で完成させておく必要があります。フロント用、センターチャンネル用、サラウンド用のそれぞれが2-wayや3-way、4-wayであるかどうかにかかわりなく、調整された1組のスピーカーシステムとして機能するようにしておく必要があります。それぞれのマルチアンプシステムに含まれるスピーカーユニット群についてタイムアラインメントや位相、音量バランスの設定を完了させておかなければならないということです。AVシステムのそれぞれの出力チャンネルにフルレンジスピーカーが接続されているようにAVアンプから見えることが重要です。
さもないとAVアンプの自動設定プログラムがうまく機能しないでしょう。ひどい音場になるのは確実です。
各社の音場管理システム | |||
各社はそれぞれの音場管理システムを以下のように呼んでいます。すべて同じ機能です。
- Audyssey (Denon、Marantz)
- AccuEQ (Onkyo)
- D.C.A.C. (Sony)
- YPAO (Yamaha)
これらの機能を利用して自動セットアップを行うときは、測定用マイクロフォンをあなたのリスニングポイントに置いてAVアンプ#1の設定マニュアルに従ってください。おそらく実行ボタンを押すだけです。マイクロフォンはAVアンプに付属していますが、紛失した場合はファンタム電源を必要としないコンデンサーマイクロフォンで代用できます。その場合、マイクロフォンの開口部を天井に向けてください。
利用するベきですか? | |||
AVアンプ#1の音場管理機能については、小庵が実際に試したのはYamaha社の製品だけです。そのときとくに問題を感じませんでしたが、インターネットには肯定派と否定派のさまざまな意見があります。あなたはどうでしょうか。ひとまず試してみては?
あなたが自動設定に満足できたなら本ページの以降の記事は読む必要はありません。
自分でやってみる? | チャレンジ5chマルチ - 5.1ch音場のセットアップ | |
さあ一大事です。AVアンプが高性能DSPを使って実現している音場の管理をあなたの耳と目と頭脳を頼りに実行することになります。以下は音場の手動セットアップに関するヒントです。実作業も記事の順に行うことを小庵はすすめます。
前提条件があります | |||
あなたのAVシステムのスピーカーシステムにDCX2496によるマルチアンプシステムを使う場合で音場のセットアップをあなた自身で行う場合、あなたは事前に以下の準備を完了させておく必要があります。
- それぞれのマルチアンプシステムを完成させておく。
前述のように、フロント/センター/サラウンドのそれぞれのマルチアンプシステムについてスピーカーユニット間のタイムアラインメントや位相、音量バランス等は調整済みでなければなりません。フロントチャンネルは特に重要です。 - AVアンプ#1の音場管理機能を停止しておく。
通常、AVアンプは音場管理機能(音場生成機能と呼ぶことも)を停止できます。メーカーにより異なりますが、StraightモードやDirectモード、Pure Audioモードなどと呼ぶ動作モードを選択します。詳細はAVアンプのマニュアルを見てください。 - AVアンプ#1のタイムアラインメント設定を無効にしておく。
AVアンプのスピーカー設定メニューを呼び出し、リスニングポイントからスピーカー設置位置までの距離を指定する場所ですべてのチャンネルについて等距離にしておきます。 - AVアンプ#1の音量プリセットを適切に設定しておく。
AVアンプの音量設定メニューを呼び出し、フロントチャンネルをゼロデシベルに、その他のチャンネルを+6dB程度にしておきます。デシベル設定を行えない場合、設定可能な最大音量値の80%程度をフロントチャンネルに、100%をその他のチャンネルにします。ただし、この設定は最終的に変更した方がよい場合があります。
| |||
これらの一つでも見落としがある場合、満足できる音場は生み出せないでしょう。AVアンプのマニュアルをよく読む必要があります。
フロントチャンネルを基準にする | |||
手動セットアップは、(1)フロントチャンネル用システムが最高の状態で動作するようにセットアップしておき、(2)それとバランスが合うようにセンターチャンネルやサラウンドチャンネルをセットアップすることになります。このため、マルチチャンネルシステムの手動セットアップにあたっては必ず最初に以下の作業を行ってください。
(1)フロント用システムのマスターボリュームを絞っておき、(2)AVアンプ#1とフロント用システムを接続して電源を入れ、(3)J-POP等の平均音量の大きな楽曲を再生し、(4)AVアンプ#1のボリューム位置をゼロデシベル(最大音量)にします。ゼロデシベル表示のないAVアンプの場合は最大音量位置の80%程度にします。
フロントシステムでSRC2496を使っている場合、AVアンプからのピーク再生がSRC2496でクリップ表示近くになるように音量調整を行います。詳細は [チャレンジ2ch 3-way] セクションの「SRC2496等セットアップ」ページを見てください。
フロントシステムのマスターボリュームを少しずつ上げ、あなたのリスニングルームにおける常用音量を少し超える位置で停止します。その位置を記憶してください。つまり、マルチチャンネル音源を聴くときはフロントシステムのマスターボリュームはその位置で固定するということです。それに合わせてセンターチャンネルやサラウンドチャンネルの音量設定を固定します(後述)。
これにより、あなたのマルチアンプシステムは以下の2通りの使い方をすることになります。
- 2チャンネルデジタル音源を聴くときはフロントチャンネルを使い、音量調整はそのマスターボリュームを利用する。
- マルチチャンネル音源を聴くときはシステム全体を使い、(1)フロントシステムのマスターボリュームを上記の既定位置にし、(2)再生音量の調整はAVアンプ#1のマスターボリュームを利用します。
2チャンネルデジタル音源の場合とマルチチャンネル音源の場合とでシステムを使い分けることになります。ちょっと面倒ですね。でもすぐに慣れてしまうでしょう。
作業1: タイムアラインメントを手動設定 | |||
|
タイムアラインメントの正確なセットアップは測定器等を用意するのが一番ですが、DCX2496の [入力設定パネル] からINPUT A/B/Cについて遅延の設定を行うことでも実行できます。[出力設定パネル] のOUTPUT 1-6にも遅延の設定ページがありますが、そちらを変更してはいけません。
[チャレンジ2ch 3-way] セクションの「DCX2496セットアップ」ページに案内のある「遅延(ディレイ)の管理」と同様の作業を行うことになります。つまり、リスニングポイントから見たときのフロント用やセンター用、サラウンド用の各スピーカーシステムまでの距離をメジャー等で測り、基準位置からの距離の差をDCX2496で設定すればよいことになります。
リスニングポイントから最も遠い位置にあるスピーカーシステムの設置場所が基準位置です。たとえばフロントチャンネル用のスピーカーシステムが最も遠い位置にあるなら、前掲図のDCX2496#1は設定を行う必要がなく、DCX2496#2について [入力パネル] からINPUT A/B/Cのそれぞれについて遅延の設定を行えばよいことになります。サラウンド用スピーカーが最も遠い位置ならDCX2496#1について設定します。
たとえば、あなたのリスニングポイントから見てフロントチャンネル用スピーカーシステムを2.5mの距離に、センター用スピーカーシステムを2.2mの距離に、サラウンドスピーカーシステムを2mの距離に設置するとすれば、(1)フロント用システムの場所が基準位置になるので、(2)センター用システムを0.3mだけそこより手前に、(3)サラウンド用システムを0.5mだけそこより手前にあるものとして、DCX2496#2のINPUT A/B/Cについて遅延の設定ページで以下のように指定することになります。(INPUT Aをセンターチャンネルに、INPUT B/Cをサラウンドチャンネルで使うものとしています)
|
作業2: 位相を手動設定 | |||
位相の管理は理論上はとても難しい問題があるのですが、完璧を求めないのであれば、じつはこの段階でそのセットアップはほぼ完了しています。つまり、センターチャンネルやサラウンドチャンネルのためのマルチアンプシステムが正しくセットアップされているなら、あとは全チャンネルについてのタイムアラインメント設定が完了した時点で自動的に位相も合うはずなのです。スピーカーユニットを逆相接続していれば180度回転の可能性はありますが、これは音源を再生して低域の量感を聞き比べることでDCX2496#2から容易に修正することができます。
- タイムアラインメント設定作業の完了後、5チャンネルすべてに十分な音量のモノラル音声が入っているマルチチャンネル音源を何か再生し、リスニングポイントで聴いてみます。SACDマルチチャンネル対応の "オーディオチェックディスク" を購入してプレーヤーから再生するのが便利です。
-
- 比較は何度か繰り返さないと確信が持てないかもしれませんが、低音の量感が豊かになる方の位相設定が正しいと判断します。結果として設定を反転させることになる場合、センターチャンネルの高域周波数帯の "PORARITY/PHASE" ページの設定も反転させたほうがよいでしょう。
- 次に、センターチャンネルとサラウンドチャンネルの一方をミュートし、フロントチャンネルとサラウンドチャンネルの一方のみ再生して同様のチェックを行います。引き続き他方のサラウンドチャンネルについても作業を行います。
- 以上の作業で位相調整はほぼ問題がないはずです。DCX2496の設定を詳細に行うことでさらにチューニングを高めることができますが、位相問題についてはあまり深入りしないことを小庵はすすめます。最後にお気に入りのSACDマルチチャンネル音源を再生して新しい音場を楽しんでください。
でも、あなたがいくら努力してもうまく調整できないように感じられる場合があるかもしれません。フロント2チャンネルだけなら十分な低域量感があるのに5チャンネル再生にするとそれを感じられなくなる場合、思い切ってサラウンドチャンネルの低域をDCX2496でカットすれば思わぬ効果が得られるかもしれません。部屋が狭い場合や家具が多い場合などは困った事態になることがあるのでそのときは試してみる価値があります。
作業3: 音量バランスを手動設定 | |||
音場の手動セットアップにおける音量バランスはDCX2496#2の [入力設定パネル] の3個のボタンから設定します。音量設定機能は [出力設定パネル] にもありますが、そこは変更しないでください。[入力パネル] の詳細と設定法は [DCX2496セットアップ] ページの「詳細 - 入力のセットアップ」にあります。
- 5チャンネルすべてに十分な音量のモノラル音声が入っているマルチチャンネル音源を何か再生し、リスニングポイントで聴いてみます。SACDマルチチャンネル対応の "オーディオチェックディスク" を購入してプレーヤーから再生するのが便利です。
-
- モノラル音源によるマルチャンネル再生において、ちょうどリスニングポイントのあなたの頭の位置から音が出ているように感じられれば作業完了です。ただし、この時の設定はあなたのシステムについての標準的なセットアップであり、個別の楽曲にとっては問題が残る内容かもしれないということは前に書いた通りです。
- お気に入りのマルチチャンネル音源が入ったBlu-rayディスク/DVD/SACDを聴いてみてください。多くを聴けばシステムの微調整も可能になるでしょう。
小庵は、マルチチャンネル対応オーディオシステムについては前記作業で標準的な音量バランスを開始できるようにしておき、個別の楽曲の再生時に必要に応じセンターチャンネルやサラウンドチャンネルの音量レベルを微調整できるようにプリセット用ボリュームを別途作成しています(前掲図)。個別の楽曲鑑賞ではDCX2496の設定を変更しないということです。
なお、DCX2496による音量バランスにおいてどうしても各チャンネルの音量が不足する場合はAVアンプ#1の音量プリセットやパワーアンプのボリュームで調整しましょう。
最善の現状を大切に!! | チャレンジ5chマルチ - 5.1ch音場のセットアップ | |
完璧なセットアップは難しいでしょう。お友達のオーディオマニアに酷評されるかもしれません。でも、確かなことを一つ感じませんか? マルチチャンネル音源には大きな可能性があるということを。ステレオ2チャンネル音源では決して体験できない世界がそこにあることを。
| |||
多くの音源を聴き、少しずつ調整を進めれば、あなたもそれに馴れ、2チャンネル音源とマルチチャンネル音源の双方を楽しめるようになるでしょう。前述のようにマルチチャンネル音源といっても出来ばえはさまざまですが、個人的な名盤に位置づけたくなるものに出会うこともあるはずです。それをさらによい音で聴けるように折々のセットアップを楽しんでください。
そして、許された時間と投資の範囲で「できるだけのことをやった」と思う時が来たときは、当面はそれ以上のことはせず、その現状に愛着を持つ努力をしてください。そして、音楽の贈り物を友人たちと共有してください。そこはあなたの音楽ホールなのです。
前のページ(機器と構成例、問題点) | 次のページ(7.1ch音場の場合は?) | チャレンジ5chマルチ |
Copyright(C) 2018-2022 S&G Hermitage. All rights reserved. |