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 - 何が必要ですか? -
マスターボリューム
もっと分かりやすく
アナログボリューム(ユニット)の注意点
マスターボリュームの自作(参考)
電子ボリュームについて
デジタルボリュームについて
接続ケーブルについて
動作テストをしておこう
   
このページはラブラドールレトリバー犬soopooが書きました。

このページはマルチアンプシステム全体の音量を一括コントロールするマスターボリュームについて書いています。準備済みなら読み飛ばしてください。

たとえば2チャンネル(ステレオ)の3-wayマルチアンプシステムを構築する場合、合計6チャンネルの音量をシステムのどこかで正しく連動させる必要があります。つまり6連ボリュームが必要です。4-wayシステムなら8連ボリュームが必要で、5.1マルチチャンネル音源を再生する場合はさらに多連のボリュームが必要になります。

たいへんですね。チャレンジのここで挫折する人もいるようです。でもシステムの組み方によっては、3-wayの場合に限りますが、6連ボリュームの自作や外注をしなくてよい場合があります。

また、マルチアンプシステムにデジタル製品が含まれる場合、マスターボリュームをシステムのどこに配置するかについても注意が必要です。小庵のチャレンジではデジタルチャンネルデバイダーなどを使用しますが、あなたが小庵と同様の選択をするのであればこのページの内容に注目してください。

もっと分かりやすく 
何が必要ですか? - マスターボリューム 
   

右の図は標準的な3-wayマルチアンプシステムの構成図です。ただし、音源再生装置を除いてデジタル製品を含まないシステム構成であれば入出力装置(プリアンプなど)に内蔵するボリュームが使えるので、その場合は右図のマスターボリュームは不要です。

デジタル機器の前で音量を絞ってはいけません。

あなたのマルチアンプシステムで周波数帯分割装置や関連する機器(サンプルレートコンバーターグラフィックイコライザーなど)にデジタル機器を利用する場合、音源入力からそこまでは最大音量を維持し、必ずデジタル処理が終わったあとでマスターボリュームを使うようにしましょう。入出力装置で音量の調整を行うとデジタル機器の性能を生かせない場合があるからです。

AVアンプを活用できます。

パワーアンプにマスターボリュームつきのマルチチャンネルアンプを、たとえば近年のAVアンプを使うことにすれば、そこで一括してボリューム調整ができるので好都合です。ただし、AVアンプが6チャンネルの外部入力に対応している必要があります。国内メーカーの多くの製品が7.1チャンネル対応なのでそのまま使えるでしょう。

小庵は実際にこのやり方を試してみましたが、必要十分のマルチアンプシステムを手軽に構築できることを確認しました。「AVアンプの音なんて」とマニアは言うかもしれませんが、百聞は一聴に如かずです。

 
Gのコメント
AVアンプによってはそのマスターボリューム機能のみを利用できる場合がある。
AVアンプのパワーアンプ部を使いたくない場合の選択肢になるね。

6チャンネルの外部入力に対応し、かつ6チャンネル以上のプリアンプ出力に対応しているAVアンプなら3-wayマルチアンプシステムのマスタボリューム候補にすることができる。国内メーカー各社に対応機種があるはずだ。中古アンプなら格安で入手できる。ただし、音量コントロールのためだけにかなりの電力を消費することになるので、そこが少し気がかりではある。

新品はどこで買えばいい?

利用可能なマスターボリュームがない場合は、あなたが自作するかどこかで購入することになります。2020年でのことですが、多連ボリュームシステムの完成品は国内での販売はないようです。小庵は海外製品にも注目していますが、これといって見当たりませんね。読者で情報をお持ちであればぜひお知らせください。なお、オークションサイトですが、まれに完成品の8連電子ボリュームが数万円程度で出ることがあります。

   8連電子ボリューム(オークションサイト)»
   8連電子ボリューム(ebayサイトです。上記と同じ製品のようです)»

特注に対応してくれるショップはいくつかあるようです。検索エンジンから「多連ボリューム」をキーワードにして検索すれば見つかるでしょう。ぼくが見つけたのは「三栄電波ドットコム」というホームページで、アナログ6連ボリュームユニットが \20,000 少々でした。ユニットなので、ボリュームボックスの作成や接続端子の取り付け、配線も必要になります。8連ボリュームも購入できるようです。

「電子ボリューム」でも検索してみましょう。ぼくは「音基板工房(AudioWorks)」というホームページを見つけて多連ボリュームの完成品を作ってもらえるか問い合わせましたが、可能だということでした。価格や性能が受け入れられるなら選択肢の一つです。ほかにも同様のホームページが見つかるはずです。あなたの技術力と経済力に応じた選択をしてください。

 
Gのコメント
AliExpress(https://ja.aliexpress.com)サイトなどで「電子ボリューム」で検索すれば8チャンネル(ステレオ4チャンネル)の完成品基盤が13,000円ほどで販売されているようだね。電源を別途用意してそのまま4-wayまでのマスターボリュームとして使える。気に入ればケースを自作して赤外線リモコンを追加すればよい。

他の選択肢は?

マルチチャンネル対応のプリアンプ(コントロールアンプ)等をマスターボリュームとして使うことができます。以下の3製品は販売が終了しているものです。

      マスターボリュームは必須ですか?

あなたが以下のようにマルチアンプシステムを運用する場合はマスターボリュームは必須ではありません。

AVアンプを使う場合、それに搭載されたマスターボリュームを使えます。また、チャンネルデバイダーでアナログシステムを使う場合、その前段のプリアンプ等で音量を調整しても何も問題はありません。

チャンネルデバイダーでデジタルシステムを使う場合で、もし全体音量の調整を行わないのであれば、デバイダー内蔵のゲイン調整またはパワーアンプでの音量調整を行うだけで済みます。ただし、楽曲ジャンルが異なる場合はジャンル間の平均音量が異なるので、ポップスもクラシックもということならやはりマスターボリュームの設置を小庵はすすめます。

アナログボリューム(ユニット)の注意点 
何が必要ですか? - マスターボリューム 

アナログボリュームを使ってマスターボリュームを作る場合、いくつかの注意事項があります。

抵抗変化特性について

   

アナログボリュームは、音量ゼロの位置から徐々にボリュームノブを回して音量を上げていくとき、その回転角度と実際に出力される音量との間に固有の関係があります。最初のうちは音量増大がゆるやかで、途中から急に増大するタイプをAカーブ特性と呼び、回転角度と音量の増大割合とが完全に比例するタイプをBカーブ特性と呼びます。CタイプはAタイプの逆の特性ですが、オーディオでは一般的ではありません。市販のオーディオアンプでは一般にAタイプのボリュームが使われています。日常的な操作では小音量を細かくコントロールできる方が便利だからだと思います。しかし、マルチアンプシステムの場合はBタイプが有利ではないかと小庵は考えています。

ギャングエラーについて

モノラルのアナログボリュームでは問題になりませんが、2連以上の場合、各チャンネルの抵抗値の特性が揃っていなければ再生音に不都合が出ます。たとえば、あるボリューム位置と別の位置とで楽器やボーカルの位置(定位)が変わってしまいます。ボリュームの開始位置ほどこの傾向は大きく、これを特にギャングエラーと呼んでいます。ひどい場合、片チャンネルしか音が出ません。オーディオファンの悩みの種の一つになっています。

オーディオグレードにする必要は?

市販のアナログボリュームには「オーディオグレード」と呼ばれる製品群があります。音質がよく、ギャングエラーが少ないとされます。どうしますか? ボリュームについては予算を増やしますか?

マスターボリュームの自作(参考) 
何が必要ですか? - マスターボリューム 

ぼくは手先が器用でないので無理ですが、小庵のGは何度かアナログ8連ボリューム(ユニット)を使ったマスターボリューム装置を自作したことがあります。そのときのメモを書いてみました。AVアンプを使わない場合の参考にしてください。なお、インターネットでも同様のメモが見つかります。「8連ボリューム」で検索してみてください。

      必要なもの

マスターボリューム装置を作成するのに必要な部品や工具は以下の通りです。これらはすべてインターネットで購入することができます。費用は参考程度にしてください。

- 8連ボリューム自作で必要な部品 -
品名数量単価小計メモ
ケース1--ジャンクの中古AVアンプを再利用できます(注1)。自作なら数百円から数千円で購入。
8連ボリュームユニット127,00027,000インターネットで注文(選択できるならBカーブ特性を。注2)
プリセット用ボリューム850400高価なものもあります。(選択できるならBカーブ特性を。注3)
RCAピンジャック(2ch用)860480(注4)
ボリュームノブ(小)850400プリセットボリューム用
ボリュームノブ(大)1200200マスターボリューム用
中継ラグ板3200600配線を中継(注5)
配線材適量(数百円)(注6)
工具必要に応じ、ドリル、ドライバー、ハンダこて、ハンダ、ハンダ吸い取り器、ペンチ、ニッパー、ドライバーなど。
あれば便利テスター。ハンダ付けの確認、抵抗値変動の確認、アース線の判断など、とても重宝します。(2,000円程度から)

ちょっと反省してみましたが、27,000円の8連ボリュームユニットと関連部品を購入し、ハンダ付けや配線などに長時間を使うことのトータルのコストは決して安いものではありません。小庵はインターネットオークションで8連電子ボリュームの完成品が35,000円ほどで出ているのを見たことがありますが、そちらを選ぶのがずっと賢明かもしれません。オークションサイトで検索してみてください。見つからないのであれば小庵のチャレンジを参考にしてください。

 
Gのコメント
その後分かったことだが、AliExpress(https://ja.aliexpress.com)サイトなどで「マルチチャンネルボリュームコントロール」や「マルチチャンネルポテンションメーター」で検索すると新品のボリュームユニットを販売しているところがあるようだ。ほとんど台湾製品だ。8チャンネルのものでも数百円程度だから製作に失敗しても失うものは少ない。

   
      小庵のチャレンジ(概要)

小庵は2,400円で8連ボリュームユニット(右図)を入手できたので、ジャンクのAVアンプを改造して8連マスターボリューム装置を作ってみました。ただし、下の写真のものは5.1chマルチチャンネル音源への対応を可能にするため2系統の8連ボリュームをセットアップしています。

1. ケース内部を空に

1,500円ほどの中古AVアンプから電源や内部基盤を取り外しました。
2. 背面パネルの様子

8チャンネル2系統を接続できるだけのRCAジャックがあります。
3. RCAジャックを内側から見る

回路基盤とRCAジャックの分離はハンダ吸い取り器を使いました。
4. 部品を揃えました

右下の緑の部品が8連ボリュームです。延長シャフトをつけています。
5. 配線の様子

配線開始です。接続ミスがないよう注意します。
6. 配線の様子

中継ラグ板があるので、うまく配線できました。
7. 完成です

1週間ほどで完成。テスターで各チャンネルをテストしました。
8. 前面パネルの様子

大きなノブがマスターボリューム用で、他はプリセット用です。

機器の解体や清掃を含めて時間はかかりますが、電子工作の経験があるなら難しいことはありません。ちょっと手がかかるのが前面パネルにボリューム取り付け穴を開ける作業です。下絵を書いた紙を貼り付けてドリルを使えばほぼ正確に開口できます。プリセット用ボリュームを使わないならマスターボリューム用を開けるだけです。

電子ボリュームについて 
何が必要ですか? - マスターボリューム 

アナログ多連ボリュームの準備が難しい場合は電子ボリュームを購入するか自作しましょう。電子ボリュームはアナログ信号をデジタル回路からコントロールします。小庵は電子ボリュームを使った経験はありませんが、Gが長生きすればきっとチャレンジするでしょう。

      そのメリット

電子ボリュームを利用することのメリットは以下の通りです。

正確に音量や音場を管理できる。
電子ボリュームは音量の管理に抵抗器を使わないので、その音量バランスを正確にコントロールできます。多チャンネルの場合でもチャンネル間の誤差がほとんどありません。

音質の変化がない。
同様に、抵抗器 を使う場合の音質の変化を避けることができます。

ギャングエラーがほとんどない。
同様に、小音量時でもチャンネル間の音量差がありません。オーディオファンの悩みの種が解消します。

キット製品であればチャンネル数の増減が容易です。
電子ボリュームキットを購入する場合、電源回路やコントローラ、ボリューム回路などを買い揃えて組み立てることになります。6チャンネルキットの場合、低価格のものでおよそ5万円ほどです。電源オン・オフ時にポップノイズが出るものは運用時に注意が必要です。業者に特注すればポップノイズ対策などもしてもらえますが、少なくとも1ヶ月分の給料が飛んでいくと覚悟してください。

リモコンを追加しやすい。
マスターボリュームをリモコンで操作できれば音量調整で席を立つ必要がなく便利です。アナログボリュームでもリモコンを使えるようにできますが、電子ボリュームの場合ほど楽ではありません。

      批判も

マニアの一部は電子ボリュームに批判的です。

音が悪い。
一部の試用レポートで見られるようです。根拠不明です。

 
Gのコメント
「デジタル回路をアナログオーディオ信号が通過する」、あるいは「アナログ信号がデジタル信号に変換されて音量操作が行われる」などの思い込みがあって「音が悪くなる」と言いたいのかもしれないね。どちらも誤解だ。

グリッチノイズが出るものがある。
ボリュームを操作するときに出る固有の雑音をグリッチノイズと呼んでいます。「チチチ」というような非常に小さな音です。あなたは気になりますか?

 
Gのコメント
出ない製品もあるから設計の問題だろうね。
気になる人はいるだろうが「ボリューム操作中だと分かっていい」という意見もある。

そのほかのあれこれ。
その他の不満や不信について技術上の根拠が示されることもありますが、多くは「デジタルの息のかかったものは何でも嫌い」と言いたいだけのようにぼくには聞こえます。

デジタルボリュームについて 
何が必要ですか? - マスターボリューム 

デジタル信号に対して直接に音量管理を行うのがデジタルボリュームです。機器や回路は安価に準備できますが、入力信号のビット深度が十分に高い必要があること、音量を絞ったときの音質の維持に問題があることなど、デジタル技術の基本にかかわる事情があり市販製品への実装は進んでいないようです。外付けの単体製品は見当たりません。

接続ケーブルについて 
何が必要ですか? - マスターボリューム 

マスターボリュームを別途用意する場合、チャンネルデバイダーやパワーアンプとの接続は多くはRCAケーブルですが、XLRケーブルの場合もあります。小庵でチャレンジ予定のチャンネルデバイダー(DCX2496)はXLRコネクタです。コネクタが異なるマスターボリュームを作成する場合は変換ケーブルが必要になります。パワーアンプとの接続も同様にしましょう。

長いアナログケーブルは信号特性に悪影響が出ることがあるので、できるだけ1.5m程度に収められるようにしましょう。一般に太くて短いケーブルほど安心して使えます。ただし、XLRケーブルを規格通りに使う場合は長いケーブルを使うことができます。

ケーブル価格については、名の通るメーカーのものであれば最低価格のものでも特に問題はないはずです。ひんぱんに抜き差しするのであればコネクタ等がしっかり作ってあるものを選びましょう。数十万円以上のケーブルも販売されていますが、普及品と比べて音の差はありません。マニアの針小棒大論に振り回されないでください。もし興味がある場合はコピー品に注意しましょう。インターネットには非常に多くの怪しげなケーブルが出回っています。

動作テストをしておこう 
何が必要ですか? - マスターボリューム 

マスターボリュームを準備できたらその全6チャンネル(3-wayの場合)について動作テストをしておきましょう。CDプレーヤーなどからのアナログ音源とテスト用プリメインアンプ、テスト用スピーカーを用意してください。アンプはモノラル1チャンネルを使い、スピーカーをそこに接続したままにしておきます。マスターボリューム以外の機器は正常動作が確認できているものを使ってください。

マスターボリュームの動作が期待通りでない場合、以下のチェックを行いましょう。

マスターボリュームが使えないとマルチアンプシステムは完成しないので、必ず問題を解決してから次のステップに進んでください。さあ、がんばって!!

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