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何が必要ですか? | |||
1. 工具・動作テスト用機器 2. 音源再生装置/入出力装置 3. 周波数帯分割装置 4. マスターボリューム 5. パワーアンプ 6. スピーカーシステム 7. 中古スピーカーの改造 8. 電源の準備 | |||
<他のセクション> | |||
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- 何が必要ですか? - |
マスターボリューム |
もっと分かりやすく アナログボリューム(ユニット)の注意点 マスターボリュームの自作(参考) 電子ボリュームについて デジタルボリュームについて 接続ケーブルについて 動作テストをしておこう |
このページはマルチアンプシステム全体の音量を一括コントロールするマスターボリュームについて書いています。準備済みなら読み飛ばしてください。
たとえば2チャンネル(ステレオ)の3-wayマルチアンプシステムを構築する場合、合計6チャンネルの音量をシステムのどこかで正しく連動させる必要があります。つまり6連ボリュームが必要です。4-wayシステムなら8連ボリュームが必要で、5.1マルチチャンネル音源を再生する場合はさらに多連のボリュームが必要になります。
たいへんですね。チャレンジのここで挫折する人もいるようです。でもシステムの組み方によっては、3-wayの場合に限りますが、6連ボリュームの自作や外注をしなくてよい場合があります。
また、マルチアンプシステムにデジタル製品が含まれる場合、マスターボリュームをシステムのどこに配置するかについても注意が必要です。小庵のチャレンジではデジタルチャンネルデバイダーなどを使用しますが、あなたが小庵と同様の選択をするのであればこのページの内容に注目してください。
もっと分かりやすく | 何が必要ですか? - マスターボリューム | |
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右の図は標準的な3-wayマルチアンプシステムの構成図です。ただし、音源再生装置を除いてデジタル製品を含まないシステム構成であれば入出力装置(プリアンプなど)に内蔵するボリュームが使えるので、その場合は右図のマスターボリュームは不要です。
デジタル機器の前で音量を絞ってはいけません。
あなたのマルチアンプシステムで周波数帯分割装置や関連する機器(サンプルレートコンバーターやグラフィックイコライザーなど)にデジタル機器を利用する場合、音源入力からそこまでは最大音量を維持し、必ずデジタル処理が終わったあとでマスターボリュームを使うようにしましょう。入出力装置で音量の調整を行うとデジタル機器の性能を生かせない場合があるからです。
AVアンプを活用できます。
パワーアンプにマスターボリュームつきのマルチチャンネルアンプを、たとえば近年のAVアンプを使うことにすれば、そこで一括してボリューム調整ができるので好都合です。ただし、AVアンプが6チャンネルの外部入力に対応している必要があります。国内メーカーの多くの製品が7.1チャンネル対応なのでそのまま使えるでしょう。
小庵は実際にこのやり方を試してみましたが、必要十分のマルチアンプシステムを手軽に構築できることを確認しました。「AVアンプの音なんて」とマニアは言うかもしれませんが、百聞は一聴に如かずです。
AVアンプのパワーアンプ部を使いたくない場合の選択肢になるね。
6チャンネルの外部入力に対応し、かつ6チャンネル以上のプリアンプ出力に対応しているAVアンプなら3-wayマルチアンプシステムのマスタボリューム候補にすることができる。国内メーカー各社に対応機種があるはずだ。中古アンプなら格安で入手できる。ただし、音量コントロールのためだけにかなりの電力を消費することになるので、そこが少し気がかりではある。
新品はどこで買えばいい?
利用可能なマスターボリュームがない場合は、あなたが自作するかどこかで購入することになります。2020年でのことですが、多連ボリュームシステムの完成品は国内での販売はないようです。小庵は海外製品にも注目していますが、これといって見当たりませんね。読者で情報をお持ちであればぜひお知らせください。なお、オークションサイトですが、まれに完成品の8連電子ボリュームが数万円程度で出ることがあります。
8連電子ボリューム(オークションサイト)»
8連電子ボリューム(ebayサイトです。上記と同じ製品のようです)»
特注に対応してくれるショップはいくつかあるようです。検索エンジンから「多連ボリューム」をキーワードにして検索すれば見つかるでしょう。ぼくが見つけたのは「三栄電波ドットコム」というホームページで、アナログ6連ボリュームユニットが \20,000 少々でした。ユニットなので、ボリュームボックスの作成や接続端子の取り付け、配線も必要になります。8連ボリュームも購入できるようです。
「電子ボリューム」でも検索してみましょう。ぼくは「音基板工房(AudioWorks)」というホームページを見つけて多連ボリュームの完成品を作ってもらえるか問い合わせましたが、可能だということでした。価格や性能が受け入れられるなら選択肢の一つです。ほかにも同様のホームページが見つかるはずです。あなたの技術力と経済力に応じた選択をしてください。
他の選択肢は?
マルチチャンネル対応のプリアンプ(コントロールアンプ)等をマスターボリュームとして使うことができます。以下の3製品は販売が終了しているものです。
- CU-80 (LUXMAN、\680,000、6ch+オプション2ch、https://www.luxman.co.jp/product/cu-80)
- MCP-18 (NuForce、\126,000、8ch、http://www.fuhlen.jp/nuforce/hometheater/products/mcp18.html)
- MSV-1 (YAMAHA、\19,800、6ch、https://jp.yamaha.com/files/download/other_assets/7/316267/MVS-1.pdf)
マスターボリュームは必須ですか? | |||
あなたが以下のようにマルチアンプシステムを運用する場合はマスターボリュームは必須ではありません。
- 全チャンネルのパワーアンプを1台のAVアンプでまかなう場合。
- チャンネルデバイダーにアナログシステムを使う場合。
- チャンネルデバイダーでデジタルシステムを使う場合で、いつも決まった音量で楽曲を楽しむ場合。音量の増減を行うことがない場合。
AVアンプを使う場合、それに搭載されたマスターボリュームを使えます。また、チャンネルデバイダーでアナログシステムを使う場合、その前段のプリアンプ等で音量を調整しても何も問題はありません。
チャンネルデバイダーでデジタルシステムを使う場合で、もし全体音量の調整を行わないのであれば、デバイダー内蔵のゲイン調整またはパワーアンプでの音量調整を行うだけで済みます。ただし、楽曲ジャンルが異なる場合はジャンル間の平均音量が異なるので、ポップスもクラシックもということならやはりマスターボリュームの設置を小庵はすすめます。
アナログボリューム(ユニット)の注意点 | 何が必要ですか? - マスターボリューム | |
アナログボリュームを使ってマスターボリュームを作る場合、いくつかの注意事項があります。
抵抗変化特性について
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アナログボリュームは、音量ゼロの位置から徐々にボリュームノブを回して音量を上げていくとき、その回転角度と実際に出力される音量との間に固有の関係があります。最初のうちは音量増大がゆるやかで、途中から急に増大するタイプをAカーブ特性と呼び、回転角度と音量の増大割合とが完全に比例するタイプをBカーブ特性と呼びます。CタイプはAタイプの逆の特性ですが、オーディオでは一般的ではありません。市販のオーディオアンプでは一般にAタイプのボリュームが使われています。日常的な操作では小音量を細かくコントロールできる方が便利だからだと思います。しかし、マルチアンプシステムの場合はBタイプが有利ではないかと小庵は考えています。
ギャングエラーについて
モノラルのアナログボリュームでは問題になりませんが、2連以上の場合、各チャンネルの抵抗値の特性が揃っていなければ再生音に不都合が出ます。たとえば、あるボリューム位置と別の位置とで楽器やボーカルの位置(定位)が変わってしまいます。ボリュームの開始位置ほどこの傾向は大きく、これを特にギャングエラーと呼んでいます。ひどい場合、片チャンネルしか音が出ません。オーディオファンの悩みの種の一つになっています。
オーディオグレードにする必要は?
市販のアナログボリュームには「オーディオグレード」と呼ばれる製品群があります。音質がよく、ギャングエラーが少ないとされます。どうしますか? ボリュームについては予算を増やしますか?
マスターボリュームの自作(参考) | 何が必要ですか? - マスターボリューム | |
ぼくは手先が器用でないので無理ですが、小庵のGは何度かアナログ8連ボリューム(ユニット)を使ったマスターボリューム装置を自作したことがあります。そのときのメモを書いてみました。AVアンプを使わない場合の参考にしてください。なお、インターネットでも同様のメモが見つかります。「8連ボリューム」で検索してみてください。
必要なもの | |||
マスターボリューム装置を作成するのに必要な部品や工具は以下の通りです。これらはすべてインターネットで購入することができます。費用は参考程度にしてください。
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- (注1) ケースを自作するのは骨が折れます。適切なサイズのものを選んで購入し、部品配置や配線を検討し、設計通りに穴を開け、RCAピンジャックを取り付けなければなりません。小庵のGは当初はそうしていましたが、ついには短気を起こし、中古のAVアンプを換骨奪胎して使うことにしました。グッドアイデアだったようです。何よりRCAジャックをそのまま使えるのが好都合ですね。
- (注2) ポケットマネーからの27,000円は厳しい? 4-wayへのチャレンジをしないなら、6連で20,000円ほどです。小庵の場合、ちょうどインターネットオークションで1個2,400円の8連ボリュームを見つけて何個か入手し、それを使いました。
- (注3) チャンネルデバイダーの大部分は個別の出力チャンネルでボリュームコントロールを実行できますが、デジタル機器の場合、案外にめんどうです。また、パワーアンプ側でのコントロールもめんどうな場合があります。そこで、マスターボリュームの近くで各チャンネルのコントロールもできるようにしておけば便利です。予算があるならオーディオグレードのものにしてください。
- (注4) 中古のAVアンプなどをケースとして流用する場合、購入や取り付けの必要がありません。
- (注5) なくてもかまいませんが、配線が楽になります。
- (注6) ボリューム回路は低電圧かつ低電流なのでとくにシールド線などを使う必要はありません。ただし金属ケースなどで全体をシールドできる必要があります。小庵はケースからアース接続をしました。
- [参考] 小庵は秋月電子通商 (https://akizukidenshi.com/) というサイトで小物部品の多くを購入しました。
ちょっと反省してみましたが、27,000円の8連ボリュームユニットと関連部品を購入し、ハンダ付けや配線などに長時間を使うことのトータルのコストは決して安いものではありません。小庵はインターネットオークションで8連電子ボリュームの完成品が35,000円ほどで出ているのを見たことがありますが、そちらを選ぶのがずっと賢明かもしれません。オークションサイトで検索してみてください。見つからないのであれば小庵のチャレンジを参考にしてください。
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小庵のチャレンジ(概要) | |||
小庵は2,400円で8連ボリュームユニット(右図)を入手できたので、ジャンクのAVアンプを改造して8連マスターボリューム装置を作ってみました。ただし、下の写真のものは5.1chマルチチャンネル音源への対応を可能にするため2系統の8連ボリュームをセットアップしています。
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機器の解体や清掃を含めて時間はかかりますが、電子工作の経験があるなら難しいことはありません。ちょっと手がかかるのが前面パネルにボリューム取り付け穴を開ける作業です。下絵を書いた紙を貼り付けてドリルを使えばほぼ正確に開口できます。プリセット用ボリュームを使わないならマスターボリューム用を開けるだけです。
電子ボリュームについて | 何が必要ですか? - マスターボリューム | |
アナログ多連ボリュームの準備が難しい場合は電子ボリュームを購入するか自作しましょう。電子ボリュームはアナログ信号をデジタル回路からコントロールします。小庵は電子ボリュームを使った経験はありませんが、Gが長生きすればきっとチャレンジするでしょう。
そのメリット | |||
電子ボリュームを利用することのメリットは以下の通りです。
正確に音量や音場を管理できる。
電子ボリュームは音量の管理に抵抗器を使わないので、その音量バランスを正確にコントロールできます。多チャンネルの場合でもチャンネル間の誤差がほとんどありません。
音質の変化がない。
同様に、抵抗器 を使う場合の音質の変化を避けることができます。
ギャングエラーがほとんどない。
同様に、小音量時でもチャンネル間の音量差がありません。オーディオファンの悩みの種が解消します。
キット製品であればチャンネル数の増減が容易です。
電子ボリュームキットを購入する場合、電源回路やコントローラ、ボリューム回路などを買い揃えて組み立てることになります。6チャンネルキットの場合、低価格のものでおよそ5万円ほどです。電源オン・オフ時にポップノイズが出るものは運用時に注意が必要です。業者に特注すればポップノイズ対策などもしてもらえますが、少なくとも1ヶ月分の給料が飛んでいくと覚悟してください。
リモコンを追加しやすい。
マスターボリュームをリモコンで操作できれば音量調整で席を立つ必要がなく便利です。アナログボリュームでもリモコンを使えるようにできますが、電子ボリュームの場合ほど楽ではありません。
批判も | |||
マニアの一部は電子ボリュームに批判的です。
音が悪い。
一部の試用レポートで見られるようです。根拠不明です。
グリッチノイズが出るものがある。
ボリュームを操作するときに出る固有の雑音をグリッチノイズと呼んでいます。「チチチ」というような非常に小さな音です。あなたは気になりますか?
気になる人はいるだろうが「ボリューム操作中だと分かっていい」という意見もある。
そのほかのあれこれ。
その他の不満や不信について技術上の根拠が示されることもありますが、多くは「デジタルの息のかかったものは何でも嫌い」と言いたいだけのようにぼくには聞こえます。
デジタルボリュームについて | 何が必要ですか? - マスターボリューム | |
デジタル信号に対して直接に音量管理を行うのがデジタルボリュームです。機器や回路は安価に準備できますが、入力信号のビット深度が十分に高い必要があること、音量を絞ったときの音質の維持に問題があることなど、デジタル技術の基本にかかわる事情があり市販製品への実装は進んでいないようです。外付けの単体製品は見当たりません。
接続ケーブルについて | 何が必要ですか? - マスターボリューム | |
マスターボリュームを別途用意する場合、チャンネルデバイダーやパワーアンプとの接続は多くはRCAケーブルですが、XLRケーブルの場合もあります。小庵でチャレンジ予定のチャンネルデバイダー(DCX2496)はXLRコネクタです。コネクタが異なるマスターボリュームを作成する場合は変換ケーブルが必要になります。パワーアンプとの接続も同様にしましょう。
長いアナログケーブルは信号特性に悪影響が出ることがあるので、できるだけ1.5m程度に収められるようにしましょう。一般に太くて短いケーブルほど安心して使えます。ただし、XLRケーブルを規格通りに使う場合は長いケーブルを使うことができます。
ケーブル価格については、名の通るメーカーのものであれば最低価格のものでも特に問題はないはずです。ひんぱんに抜き差しするのであればコネクタ等がしっかり作ってあるものを選びましょう。数十万円以上のケーブルも販売されていますが、普及品と比べて音の差はありません。マニアの針小棒大論に振り回されないでください。もし興味がある場合はコピー品に注意しましょう。インターネットには非常に多くの怪しげなケーブルが出回っています。
動作テストをしておこう | 何が必要ですか? - マスターボリューム | |
マスターボリュームを準備できたらその全6チャンネル(3-wayの場合)について動作テストをしておきましょう。CDプレーヤーなどからのアナログ音源とテスト用プリメインアンプ、テスト用スピーカーを用意してください。アンプはモノラル1チャンネルを使い、スピーカーをそこに接続したままにしておきます。マスターボリューム以外の機器は正常動作が確認できているものを使ってください。
- 動作確認をするマスターボリュームの入力チャンネルを決め、対応する入力コネクタにアナログ音源をつなぎ、対応する出力コネクタから信号ケーブルをアンプ側の入力コネクタに接続します。
- マスターボリュームをゼロ音量位置に、プリセットボリュームがあれば50%程度に、アンプのボリュームも50%程度にします。
- お気に入りの音源を再生します。
- マスターボリュームで音量レベルを少しずつ上げてください。スピーカーから音は出ますか?
- 引き続き音量の増減を試してみてください。変化は期待通りですか?
- 期待通りであれば、他の入力チャンネルを同様に確認しましょう。
マスターボリュームの動作が期待通りでない場合、以下のチェックを行いましょう。
- 音源からパワーアンプまでの経路にある接続ケーブルを確認します。接触不良や断線はありませんか? テスターで導通を確認しましょう。予備のものがあれば交換してみましょう。
- パワーアンプは正常に動作していますか? また、スピーカーの接続は? スピーカーは断線していませんか?
- 上のチェックで問題が見つからない場合、マスターボリュームに何か問題がある可能性があります。配線の追跡、ハンダ付けの確認、ボリュームユニットの確認など、骨の折れる作業が必要になりますね。市販品なら販売元へ問い合わせてみましょう。
マスターボリュームが使えないとマルチアンプシステムは完成しないので、必ず問題を解決してから次のステップに進んでください。さあ、がんばって!!
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