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何が必要ですか? | |||
1. 工具・動作テスト用機器 2. 音源再生装置/入出力装置 3. 周波数帯分割装置 4. マスターボリューム 5. パワーアンプ 6. スピーカーシステム 7. 中古スピーカーの改造 8. 電源の準備 | |||
<他のセクション> | |||
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- 何が必要ですか? - |
中古スピーカーの改造 |
黄金時代のスピーカーを手に入れよう 改造について 劣化したエッジの修理について |
わが国のオーディオ黄金時代に販売されていたスピーカーシステムを改造します。低コストでマルチアンプシステムを構築するためにぴったりなのです。
おすすめの理由は以下の通りです。
- 国内メーカーはわが国のオーディオ事情に合わせた製品作りを心がけていました。
- 製品はメーカーの試行錯誤の結晶で、すぐれた製品が少なくありませんでした。
- ユニットとエンクロージャを一度に準備できます。
- ユニットは同一メーカー製が多く、トータルな音質の傾向が合っています。
- メーカーのカタログ値を参考にセットアップできます。
- タイムアラインメントや位相の設定が簡易にできます。
- おお、安い!!
一方、注意すべきこともあります。
- ユニットやエンクロージャが劣化している場合があります。エッジは修復が困難な場合があります。
- ユニットの取り出しやエンクロージャの加工が難しい場合があります。
- ユニットの性能諸元(周波数特性など)が不明な場合があります。
- ユニット接続端子の極性(プラスとマイナス)が不明な場合があります。
- 加工したシステムは処分時に評価額が低くなってしまいます。
- 輸送時に事故が起きる可能性があります。コーン紙に穴を空けられるかもしれません。
中古システムの中には当初からマルチアンプシステムでの運用を可能にしているものもあります。その場合は改造する必要がありません。エンクロージャの接続端子を確認してください。3-wayシステムの場合、4組の接続端子があり、その一つに「Bass」や「Low」、「Woofer」などと書かれているようであればその可能性があります。機種名でインターネット検索を行えば確認できるでしょう。
黄金時代のスピーカーを手に入れよう | 何が必要ですか? - 中古スピーカーの改造 | |
わが国のオーディオ黄金時代に販売された中型以上の3-wayスピーカーシステムを手に入れましょう。
どこで手に入れる? | |||
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オークションサイトをしばらく観察すれば質のよい中古品を格安で入手できる可能性がありますが、手にとって品質を確認することはできないので、リスクがあることを受け入れなければなりません。その他の中古品店の場合は販売場所まで出かけて現物に触れることができますが、オークションで手に入るものより割高になることがほとんどです。
小庵は実際に何度かオークションサイトから中古品を入手したことがあります。ウーファーのスピーカーエッジが経年破損しているものは非常な低価格で入手できます。修理して使えば新品と変わらない音が出ます。
入手時の注意 | |||
中古品を入手する場合は以下の点に注意しましょう。
- 「動作確認」と明示されているものを選びましょう。「ジャンク」という表記のあるものは避けましょう。ただし「エッジが悪くなっているからジャンク」というものならあなたにも修理可能です(後記参照)。
- 可能なら動作テストをお願いしてください。各ユニットから確かに音が出ているか確認しましょう。
- 可能ならピアノ曲などアタックの強い楽曲を大きな音で再生してもらい、ビビリ音などが出ないか確認しましょう。過入力などのために不具合が起きているユニットを発見できます。
- エンクロージャに大きな破損がないか確認しましょう。多少の傷は仕方がありません。
- 過去の所有者が喫煙していなかったか、動物を飼っていなかったか確認しましょう。
- 前面ネットが付属しているか、破損していないか確認しましょう。
- オークションを利用する場合、掲載写真を注意深く確認しましょう。疑問点は出品者に質問できるはずです。
おすすめの製品は? | |||
小庵が試したものを含め、以下のスピーカーシステムを候補にしておきますが、下記以外にも優れたスピーカーシステムが少なくありません。オーディオ黄金時代のものなら、おそらくどの3-wayシステムでもマルチアンプシステムに使える可能性があります。ただし、エンクロージャからユニットを取り出しにくいものや修理・改造が難しいものがあります。また大型エンクロージャや重量級ユニットを搭載しているものは取扱いが危険な場合があります。
小庵は主にONKYO製品とPANASONIC(Technics)製品、YAMAHA製品について改造を試してみました。選択の理由は、販売数が多かったためか安価にそれらを入手できたこと、エッジの交換やエンクロージャ内の作業等が楽だったからです。
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- 「品名」は正確でない可能性があります。3-wayでウーファー口径が25cm以上のものはすべて候補になると考えてください。
- 「ユニット構成」は同じシリーズでもさまざまです。
- 「整備品」は修理せずそのまま使える品質のもの、「要整備品」はエッジの修復等で使用可能になる品質のもので主にオークションサイトで入手できるもの、「ジャンク」は専門業者に依頼すれば使用可能になるものです。価格は参考程度にしてください。
- 製品によっては30kgを超えるものがあり、運搬に注意が必要です。
- 各社が販売していたスピーカーは以下のサイトで詳細を閲覧できます。
オーディオの足跡 https://audio-heritage.jp/
入手したら最初に確認しましょう | |||
中古品を入手したら、手持ちのアンプにつないで以下のチェックを行いましょう。
- 全ユニットから音が出るか、音にひずみはないか、雑音は出ないか。
- 聞きなれた楽曲をバランスよく再生できるか。
- 楽曲のボーカル部やFM放送のニュース等で人の声が自然に聞こえるか。
- 音量を上げて同様の確認をします。
- ユニットやエンクロージャに当初公開されなかった破損や傷がないか。
不具合を発見した場合、販売者とすぐに相談しましょう。場合によっては返品しましょう。もちろん返金してもらいましょう。ただし、販売時に「ジャンク」の案内があったものについては返品・返金に応じてもらえない場合があります。
改造について | 何が必要ですか? - 中古スピーカーの改造 | |
本当に改造する? | |||
スピーカーシステムを改造すると、その中古品としての価値は下がってしまいます。新品同様のもの、高価なもの、記念のものなど、改造してよいのか、よく考えてみましょう。元に戻すことはできません。それでもチャレンジしますか?
周波数分割ポイントを確認しておきましょう | |||
あなたが入手したスピーカーシステムの各ユニットがどの周波数範囲を再生しているかをメモしておいてください。メーカーのカタログや仕様表で確認できるはずです。システムによってはエンクロージャ背面に書いてあるかもしれません。
これは、周波数帯分割装置(チャンネルデバイダー)のセットアップを行うときに必要になる重要な情報です。
改造手順 | |||
改造は以下の手順で行います。
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- エンクロージャ内を操作できるようにする。
- ユニットとネットワーク装置等の接続状態をメモする。
- スピーカーユニットの極性を確認する。
- ネットワーク装置とスピーカーユニットとの接続を切り離す。
- エンクロージャ内部を整理する。
- 必要ならユニットを修理・補修する。
- ユニットに新たな導線を接続する。
- エンクロージャにスピーカー接続端子を設置する。
- 接続端子とユニットからの導線とを接続して導通を確認する。
- ユニットをしっかり取り付け、エンクロージャを閉じます。
1. エンクロージャ内を操作できるようにする。
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- 中古(\15,000)のONKYO D-77XG - まず、とにかくエンクロージャの中を操作できるようにしなければなりません。
- エンクロージャ背面から内部にアクセスできる場合があります。裏板がネジ止めされているならそれを取り外します。
- 背面からアクセスできない場合、前面からウーファーユニットを先に取り外して内部にアクセスします。六角ドライバーなど、一般的でない工具が必要になる場合があります。
- スピーカーシステムによってはユニットのネジ穴とエンクロージャの取り付け穴とに対応関係があるかもしれません。小さなマークを書き込むなどしてネジ穴と取り付け穴の対応が分かるようにしておきましょう。
- 1本のネジを一気に緩めて抜くのではなく、対角線上にあるネジを順に少しずつ緩めましょう。ユニットのフレームやエンクロージャに無理な力が入らないようにしましょう。
- ネジやワッシャなどを見失わないよう、まとめておきましょう。ガムテープなどに貼り付けるのが便利です。
事故を防ぐため、作業は安定した広い場所で行いましょう。高性能スピーカーシステムほどウーファーユニットなどが重いはずです。うっかり取り落とすと、ユニットに傷をつけるだけでなくあなた自身が怪我をする心配があります。
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- ネットワーク装置が見えます - 2. ユニットとネットワーク装置等の接続状態をメモする。
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エンクロージャ内が見えるようになったらウーファーやスコーカー、トゥイーターとネットワーク装置、エンクロージャの接続端子がどう接続されているかメモをしておきましょう。元に戻せるようにしておくためです。
3. スピーカーユニットの極性を確認する。
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ユニットの接続端子のプラス/マイナスがどうなっているかメモします。ユニット側に刻印がない場合、ネットワーク基盤側で分かることがあります。不明な場合、ユニットの2個の接続端子の大きさが異なっていれば、大きい方がプラス端子です。それでも不明な場合は [何が必要ですか?] セクションの「スピーカーシステム」ページを参考に判断してください。
4. ネットワーク装置とスピーカーユニットとの接続を切り離す。
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スピーカーユニットに接続されている既存のケーブルを抜いてネットワーク装置とユニットとを切り離します。ユニット側がハンダ付けされている場合、ハンダこてを当てて手早く導線を外します。長時間ハンダこてを当てるとユニット側の配線を傷めるかもしれません。
5. エンクロージャ内部を整理する。
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ネットワーク装置が簡単に取り外せるならそうしてください。困難な場合はそのままでかまいませんが、そこから導線が伸びている場合はそれらを丸めるなどして動かないように周辺に固定します。必要があれば吸音材を増減させます。
6. 必要ならユニットを修理・補修する。
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エッジが痛んでいる場合など、ユニットの修理・補修が必要な場合は適切な対応を行ってください。自分で対応できない場合は業者を探して修理を依頼してください。本ページ写真のウーファーユニットは小庵のGがウレタンエッジに張り替えました。慣れれば難しくありません。
7. ユニットに新たな導線を接続する。
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- ハンダ付けしました - ユニットに問題がないなら、その接続端子に新たな導線をつなぎます。すべての導線はエンクロージャの接続端子まで届く長さが必要です。また、プラス/マイナスの区別が分かる導線にしましょう。あまり細い導線はすすめられません。16AWG(ゲージ)以上の太さのものをすすめます。1mが数百円程度のもので十分です。
ユニットと導線の接続がうまくできない場合はハンダ付けしましょう。特別なハンダを使う必要はありません。
8. エンクロージャにスピーカー接続端子を設置する。
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- 端子台は便利です - エンクロージャにマルチアンプ対応の接続端子がない場合、それを新設する必要があります。接続端子に何を使うかでエンクロージャ加工の難易度が変わります。端子を使わず、引き出した内部導線とスピーカーケーブルを直接にハンダ付けするのも悪くありません。
スピコンやバナナプラグなどを使ってもよいのですが、小庵のおすすめは「端子台」と呼ばれる接続端子を使うことです。この場合、内部導線をエンクロージャ外に引き出す必要がありますが、引き出し穴がない場合は適切な場所にドリルで穴を空けることになります。内部導線を引き出したときに穴に隙間があるなら加工の最後にそれをパテ等で埋めてください。右の写真はエンクロージャ背面のバスレフポートから導線を引き出して端子台につないだ様子です。アンプへはLANケーブルを加工したものを使ってみました。
9. 接続端子とユニットからの導線とを接続して導通を確認する。
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接続端子と内部導線を接続して加工は完了です。どの端子がどのユニットのものか、プラス/マイナスも含めて端子の近くに書いておきましょう。あとで混乱しないため、書いたものの正しさをこのとき入念に確認しましょう。 マルチアンプシステムは構成部分が多いため、問題が発生したときにチェック項目が多く、不確かなことが一つでもあると迷宮入りのようになることがあります。信頼できる部分がどれだけあるかがとても重要です。ユニットやエンクロージャは一度セットアップをすると内部を再確認することが困難です。何度も、念入りに確認しておく必要があります。
最後にユニットごとのプラス端子とマイナス端子にテスターをあて、抵抗値がユニットの公称値と同じか確認します。4Ω(オーム)程度から16Ω程度のはずです。ゼロの場合は、端子からユニットへ至るどこかで導線がショートしています。非常に大きな値になる場合はハンダ付け不良か導線が切れている可能性があります。
10. ユニットをしっかり取り付け、エンクロージャを閉じます。
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ウーファーなどのユニットをエンクロージャに取り付けるときは、対角線上にある2個のネジを互いに少しずつ締めながら、ユニットに一方的な力が加わらないように注意します。1ヵ所のネジをいきなり締め付けないでください。少しずつ次々に締めながら一回りしましょう。何度か回って最後にしっかり固定します。
なお、スピーカーユニットの取り付けは長い間に少しずつ緩むので、1年に1度程度は改めてネジを締め直しましょう(増し締め)。
劣化したエッジの修理について | 何が必要ですか? - 中古スピーカーの改造 | |
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どんなものでも使い続けていれば必ず不具合が現れます。スピーカーユニットの場合、そのエッジの劣化が最大の問題で、ウレタン製の場合に問題が早く現れます。オーディオ黄金時代のスピーカーシステムでウレタンを使用しているものの大部分は2020年には目も当てられないありさまのはずです。
ゴム製エッジの場合、経年により硬くなってポロポロと崩れ落ちるようになります。布製エッジの場合、そこに塗られているビスコロイドなどのダンプ剤がカチカチに硬くなってしまうはずです。どの場合も音質が変わり、低音が十分に出なくなります。
しかし、スピーカーは修復可能です。あなたが大切に使うなら、それはあなたの生涯にわたってあなたを楽しませてくれます。スピーカーは一生使えるツールなのです。小庵のGはもう何度もウーファーエッジの交換にチャレンジしています。そのたびに腕を上げました。
交換用エッジは安いし、時間がたっぷりあれば楽しい作業なんだがね、気力がね。
でもG、そこで歳を受け入れてしまうと、そのまま一直線だと思いますよ。
修復はウレタンエッジの場合が一番楽です。ただし、ウレタンの場合、長期的には再交換が必要になります。
ゴムエッジや布エッジの修復は経験が必要です。ゴムエッジの場合はウレタン製に交換してもマルチアンプシステムで使うなら大きな問題はないものと思います。布エッジについては、硬くなったエッジのための軟化剤などが販売されていますが、安心して使えるか疑問があります。エッジに塗ってあるビスコロイド等を溶剤を使ってはがし取る方法がインターネットで紹介されていますが、それだけでは腰砕けスピーカーになってしまうかもしれません。
自信がないなら修復業者に依頼するのがベストです。1個の修復につき料金は数千円程度でしょう。
エッジはどこから入手? 価格は? | |||
「スピーカー エッジ」と2語で検索すればいくつも関連会社が見つかります。オークションサイトでも同様に見つかります。スピーカーユニットに合ったエッジを購入しましょう。会社によっては印刷物やウェブサイトで修復方法の詳細を案内しています。初めての経験であれば、接着用ボンドなどが一式になっているものを選んでください。
エッジの価格は国内メーカー製ユニットに対応するものが1枚1,000円程度から3,000円程度です。JBL等の大型スピーカーユニットのための「リコーンキット」というものも販売されていますが、数万円以上と高価です。
参考になるサイト、修復業者 | |||
エッジの修復など、スピーカーユニットのメンテナンスの実際を教えてもらえるサイトは以下の通りです。
- FUNTEQ http://www.funteq.com/
- YOSHIDAスピーカーリペアサービス https://yoshida-speaker-repair.com/
- スピーカー修理・エッジ交換 http://speaker-diy.com/
ほかにもたくさんあります。検索してみてください。
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